hachimitu blog

とあるWebディレクターのブログ

それでもネイティブアプリよりWebアプリなたった一つの理由

若干ベタに煽りっぽいタイトルですが。 今週、スマートフォン業界的には今後のマネタイズという部分で大きなトピックがありました。ドコモの「dメニュー」開始です。 ドコモの「dメニュー」開始、直営ストアの「dマーケット」も
当初用意される3600サイトは、iモードの「マイメニュー」登録件数の7割を占めているとのことで、iモード端末からスマートフォンへ乗り換える際、これまで利用してきたコンテンツをスマートフォンでも引き続き、利用できる。

これからはスマホに機種変しても自動で退会されないよ
dメニューがちゃんと使われるかどうかはあまり問題じゃありません。重要な部分がさらっと書かれていますが、「コンテンツを引き続き、利用できる」というのは=「スマートフォンでも引き続き、課金される」ということなんですね。KDDIはもともとスマートフォンに移行したユーザーに対してIS NET契約がされた際(まぁだいたい契約するんですけど)、ezweb上での課金契約を自動的に引き継いでいました。これでdocomoとauにおいて、ガラケーで月額課金をしていたサービスは、ユーザーがスマートフォンに機種変更した場合も自主的に退会しない限り、課金が継続されるというエコシステムが出来上がったわけです。 さらには docomo、スマホ向け「dメニュー」公開 - 検索結果にdメニューリストサイトを表示
dメニューの上部には検索窓が用意されており、検索するとGoogleの検索結果(PC版)が表示される。また、検索キーワードと合致するサイトがdocomoに登録されている場合は、検索結果上部(広告とPC向け自然検索結果の間)に「メニューリスト掲載サイトの検索結果」として該当サイトの一覧が表示される。
という感じで、着々とガラケーにおける経済圏がスマートフォン上でも展開される下地が整いつつあります。 ただ、そこら辺の話はガラケーにおけるマネタイズの主軸として展開されてた月額課金モデルがスマートフォン上でも展開される土壌ができつつあるだけで、ガラケーではサイト課金だけど、スマフォではネイティブアプリ課金やればいいだけなんじゃんという話もあるかと思います。ただ、話はそんなに簡単ではく...。 スマホからアプリが消える日――web化していくスマートフォンの未来
サービスを提供する側からも、課題が見えてきていた。前述したプラットフォームを介さなければアプリが提供できないというのは、事業者にとってみれば不便極まりない。また彼らに「上前」をはねられるとなれば、そもそもビジネスとして成立しないケースも出てくる。

たった一つの理由、それは料率
問題なのがAppleGoogleともにiPhoneiOS)、Androidのマーケット上でネイティブアプリの課金売り上げの30%を持ってくという料率の問題です。 ちょっと例を上げて説明しましょう。みんな大好きニコニコ動画ニコニコ動画では現在、ネイティブアプリ上で有料会員登録をする際、Appleのアプリ内課金(In App Purchase)ではなく、ブラウザに飛ばしてキャリア決済やクレジットカード決済させてますが、これがAppleに怒られてIn App Purchaseを使わなければいけなくなったケースを想定します。
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ニコニコ動画のプレミアム会員は月額525円。めんどくさいので消費税は抜いて500円で計算してみましょう。 月額課金の決済手段によってさっぴかれる費用としては、 ・クレジットカード決済:5%程度(決済代行会社使う場合) ・キャリア決済(ケータイ払い):10〜15%程度(キャリアによりけり) というのがだいたい相場かと思います。 それに対して、AppleGoogleさんは30%もってきます。(さすがです!) それぞれの決済手段別に実質の実入りを計算すると。 ※会計上、売上はグロスで計算されて、決済手数料分は費用にまわされるかもですが。 クレジット決済の場合:500円x95%=475円 ケータイ払いの場合:500円x90%=450円 Apple/Google決済の場合:500円x70%=350円 鬼か! それぞれの決済手段で入会したユーザーが一年経過した場合 クレジット決済の場合:475円x12ヶ月=5,700円 ケータイ払いの場合:450円x12ヶ月=5,400円 Apple/Google決済の場合:350円x12ヶ月=4,200円 悪魔か! グラフにしてみます。 nicograph.png まぁ、ネイティブアプリとブラウザの違い、決済手段の違いでCVRは変わってくると思いますが、この料率の違いはかなり重いです。 逆にAppleGoogleからしてみればかなり美味しい商売ですので、ネイティブアプリからの決済については自前のものを制約として課してくる流れになるでしょう。 以下は、ドワンゴの2011年11月11日発表の2011年9月期決算資料ですが、
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プレミアム会員数が139万人。この会員の一割の10万人を仮にネイティブアプリ経由で獲得できたとすると、 10万人x500円x3割(料率)=1,500万 1,500万円がAppleGoogleに手数料として入ることになります。 しかも毎月! 夢のようなビジネス!!
企業としてはWebアプリに注力せざるを得ない
特にプロモーション(広告)を打つ場合に、獲得単価と獲得数という点で料率が問題になってきます。料率で持ってかれる分が大きい場合、その分継続率と照らしあわせて獲得単価を抑えなければならず、獲得数が増えません。これはどっちかというとプロモーション担当の人の目線ですが。 経営的な目線で考えると、 ・グローバル展開を考えている、重視している ・無料(広告モデルか話題目的)でしか提供しない ・ネイティブアプリでしか実現できない機能要件がある という場合でなければ、ネイティブアプリは地雷です。 広告についても、Apple / Googleもプラットフォームを持ってるので今後自分らのプラットフォーム以外の広告は認めないとか言い出さないとも限りませんしね。(だって彼らevilだもん) HTML5か、ネイティブアプリか、それが問題だ
グリムショー氏によると、FTのiOSネイティブアプリはiPhoneで75万件、iPadで65万件ダウンロードされるなど成功を収めていたという。しかし、Appleがアプリ内課金について30%のコミッションを徴収しはじめたことで、戦略の見直しを迫られた。グリムショー氏は「Appleは(コンテンツプロバイダーの)商業行為に税を課した」と説明。「読者との間にAppleが入ることになり、チャネルの統合というわれわれの方向性に合わない」と判断し、App Store経由のコンテンツ提供は自社のビジネスモデルに合致しないという結論に至った。
OS(iOS Android)にアプリマーケットを同梱するという彼らのやり方は非常に狡猾でした。それはかつてMicrosoftがWindowsというOSにInternet Explorerを同梱したように。そしてそのマーケットは彼らのプラットフォーム内で完結しているという点で、docomoのi-modeとほぼ同じです。 ただ料率という部分で今後、サービス提供者はプラットフォームから撤退するという判断をするケースも増えていくと思います。 そんじゃーね。